隠し事。
二十年会わない地元の友達から電話がかかってくる。二人。交互に、懐かしい想い出話をする。ひとりはわたしを「じゅん」と呼び、ひとりはわたしを「じゅんちゃん」と呼ぶ。あんなにいつも一緒に遊んでいたのに、ある時からぱたりと会わなくなり、やがては電話で連絡をとりあうこともなくなったのは、なにか特別な理由があるわけでもなく、ただ、なんとなく……、と考えて、やっぱり何故だろうと考え込む。じゅんやじゅんちゃんやじゅんべーとわたしを呼ぶ人に、だんだん会わなくなってきている。もうすっかり髪の毛も薄くなって、今は、まわりの人から「ぞうぞう」や「ぞうちゃん」と呼ばれていることは、恥ずかしいので、秘密にしなくてはいけない。
古本屋の日記 2012年2月11日