3日連続の忘年会ロード、終わる。毎日酒に酔ってわーわー云っている自分を、よくそんなにわーわー云ってられるなと思って眺めていると、少し、哀れな気持ちになってきます。
雪が降れば良いと思う。わたしはわたしを反省する。ただそれだけだと行き場がないので、雪の野原をキッキックトントンと歩いて、狐の幻燈会に行きたいと思う。
「みなさん。今晩の幻燈はこれでおしまいです。今夜みなさんは深く心に留めなければならないことがあります。それは狐のこしらえたものを賢しこいすこしも酔わない人間のお子さんが喰べて下すったという事です。そこでみなさんはこれからも、大人になってもうそをつかず人をそねまず私共狐の今迄いままでの悪い評判をすっかり無くしてしまうだろうと思います。閉会の辞です。」
狐の生徒はみんな感動して両手をあげたりワーッと立ちあがりました。そしてキラキラ涙をこぼしたのです。
宮沢賢治 雪渡り