先輩を送る。そのあと`も兄と、献杯。
いつも、先輩が逝くのを見送りながら、古本屋の終わり方について考える。
在庫蔵書をきれいに処分してから去るべきなのか、生き様そのものみたいな本の山を、残すべきなのか。
跡取りがいる場合は別ですが、一代限りとなると、やはり、考えなくてはいけません。
きれいに処分してなくなる人、膨大な量の蔵書を、後輩の、売り立てにまかせる人、あと、処分しようと考えていても、間に合わなかった人。象々も、生きているうちの整理を頼まれて、頼まれたまま会えなくなった人もいましたからーー自分の、少ない在庫を見回しながら、古本屋の、手仕舞いの仕方について考える。
わたしはやはり、何も残さずに去りたいと思う。いた痕跡すら残さないように。なにも。
なにも、いらない、と思う。