象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

記憶。

インドの西の果て。砂漠への入り口、さらさらと、砂の流れる街の夕暮れーー結婚式の行列の、だみ声の歌や音楽が賑やかで、もうすぐ最後の光が砂の向こうに消えてあたりが闇に包まれるその一瞬手前、あのジャイサルメールの四つ辻で別れた日本人が最後に僕に向かって何か云ったのだけれど、喧噪に紛れて聞こえなかった。とぼとぼと砂漠へとつづく道を歩いてゆく彼に手を振って、僕は、温いビールとまずいチャイニーズ・フードを食べさせる店へと向かったのだった。それから
古本屋の日記 2011年12月8日