象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

古本じいさんとわたし。

きょうは真面目に、一日中堅い内容の古本の整理をする。店で、あれこれ仕分けして、少しずつ、チャリで、組合に運ぶ。線引きがなければと幾度も思うが、しかたない、振りで、スパッと、売ってしまいましょう。なんて思いながら何往復目か、組合に戻ると、僕の、作業しているカーゴに重なるようにして彼岸のおやじ。なにか喧嘩ふっかけてくるんかなあと思っていたら、今日は、すこぶる、機嫌がいい。歯の抜けた口を開いて、おそらくそれは笑顔なんだよね……、ほんとうに、最近の市はろくなもんがでていないこと、政治家がろくでなしなこと、古本なんて誰も読まないこと、日本がどんどん腐ってゆくこと、あんたいっつも頑張ってるなあ、せやけどこないだの出品全然あかんかったでぇ、頑張っても儲からんでえ、古本屋なんてええことないでえ、はは、しょせんわしら地獄で暮らしとんやさかい、などと、こないだの大喧嘩を忘れて楽しそうに話しかけてきたので、わたしも、半ば聞き流しながら、笑顔で受け答えする。もうすぐ日が暮れる、11月末日の、薄暗い古書会館での、ひと時。向こうの方でなにやら真面目な顔をして本の仕分けをしていたくさおおい君が、少し、わたしたちを見て笑ったような気がしましたが。

古本屋の日記 2011年11月30日