なにか非常な眠気をおぼえながら散歩の途中暑さを避けて目についた大きな書店に入り妙に白い光を反射して全ての音を吸収してしまうらしい素材でできた床をとぼとぼ歩いているとああこの世には本が多すぎると思えて息苦しくなってくる。
目を閉じていても通り過ぎてゆく棚々の本の気配は感じることができる。一冊一冊。あれもこれも、やはりほんとうの本ではない。もしも、この中にたった一冊、ほんとうの本があれば、こんなにも沢山の本が並んでいるはずはない。
目を開く。
白くて、
何も見えない。
こともないけどね。