今日は一日真面目に事務所で作業をする予定だったのですが、積んであった本をひょいとのかすと目についたのが井伏はんのこの本。
ぱらぱらとめくっているうちにだんだんと予定から遠ざかってゆき、先生お得意の骨董話に引き込まれて行ったと云うわけです。
犬島、直島など、一度旅行で訪ねたことのある瀬戸内の離島近海の海底から引き揚げられる古備前をめぐる掌編。読むのに時間はかからないのですが、きっとまだ何処かに眠っているに違いないお宝に気持ちが行ってしまって、もはや仕事どころではありません。
「おのれ、なんちゅう無様なことをやらかした。囲った女に逢いに来て、ぽっくり死ぬとは何ごとじや。つまらん骨董なんぞに溺れるけん、こんな往生とげるんぢや。骨董は、みんな溝に棄ててやる。確かにさう思へ」
井伏はんにはじめて海揚りを見せてくれた八春が頓死した時の父親の言葉。。
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