象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

片一方だけの靴下

朝、タンスの引き出しからひょいとつまみ出した靴下が片一方しかない。きっとまだ洗濯かごのあたりでくすぶっているのだろう。ごそごそ辺りを探っても、相方は見つからない。

片一方しかない靴下ほど寂しいものはない。そう告げて、ぴらりと片割れを家の人に見せると、他のんはけばいいやんか。ーーなるほど、そうかもしれない、そうかもしれないが、わたしの云いたいのはそういう事ではない。片一方しかない靴下は、物悲しい。特に月末、このような冬の始めの雨の日などには。

古本屋の日記 2015年11月26日