ほとんどこの世と云っっていいけれども決してこの世とは交わらない場所をずーっとさ迷っているあるモノがいて今それが目の前を通過してゆくのをぼんやりと眺めている。永遠とほぼ同義語の彼方からやって来てようやくわたしの目の前を通過しているにもかかわらずわたしにはそれのことがよくわからないので特に何も思うところがない。ただ、今遠ざかりつつあるそれを再びこの世で見ることはあるまいと思うと少し悲しい気持ちがする。
通過するもの。
古本屋の日記 2015年5月10日