古本屋だからといってなんでも売ってしまう訳ではありません。気に入って、ずっと手元に置いておくものもたまにはあります。亡くなられた先輩古本屋さんの整理のお手伝いなどをする時によく思うのは、後生大事に持っていても、いずれは自分の手から離れてしまう(あるいは自分の寿命がつきてモノがこの世にありつづける時間の長さについて行けない……)ということですが、やっぱりモノへの執着心を断つことはできません。まあ、それがこの商売の原動力でもわるわけなのですが……。いずれ死ぬ時は、きれいさっぱり空っぽの方がいいです。
小林かいちの木版絵封筒……。これも、気に入ってずっと手元に置いているものです。去年の災難も奇跡的に生き延びて今もわたしのそばにあります。数あるかいちの図案の中でも最高傑作の一つだと思うのですがどうでしょうか?
部屋の中で、憂鬱な気持ちを持て余して時などに、じっと見つめていつまでも飽きることがありません。
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