象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

ca va?

ほんの些細なことで、今日一日予定していたことがパーになる。

たこ焼き食ってビールを飲む。大型書店で何冊か本を買う。それから、流れでどっかをブラブラ飲み回る、などなど。

(能天気すぎて…)予定とまでは云えないかもしれないなんとなく想像していた今日一日のありようがぜんぶキャンセルされてただじっと事務所のソファに座っている自分を発見する。

 

日曜日にたこ焼き食ってビールを飲まなかったわたしはもはやかつて想像していたわたし自身の姿をしていない。

大型書店でブラットベリと萩尾望都の「ウは宇宙船のウ」を買わなかったわたしはかつて想像していたわたし自身の姿をしていない。

酔っぱらってええ感じで道を歩いていないわたしはかつて想像したわたし自身の姿をしていない。

 

想像されていた現実がなにかをきっかけにあっさりと崩壊して(まあ想像していた現実があんまりたいしたものではないので崩壊だなんて大袈裟な表現だだと云う人もいるかもしれませんが……)

今事務所で発見された象々は、そのような、ありうべき姿をした象々ではなく、ただ何にもしないでじっと死ぬのを待っている薄ぼんやりとした意識を内側に閉じ込めた貧相な一個の肉体です。

(ここで、自分の肉体を細部にわたって克明に、延々と、言葉によって描き尽くす長い長い文章が入る訳ですが、それはあまりにも醜悪なので割愛されます…。)

 

天井からぶら下がる白い電球に目を奪われて身動きが取れない。このまま、時というものが過ぎ去り続けるのをじっと見つめているのか、失われたたこ焼き、失われた本屋、失われたはしご酒、それらを忘れ、何か新しい自分をもう一度想像すべきなのか。

マードレ!オー、マードレ!

(タルコフスキー、ノスタルジアより)

 

あかん。

わしアホかいな。

そんな考え事に数時間を費やしてしもた。

 

ほんでつぶやき。

サヴァ?

ノンサヴァパ!

 

 

 

 

 

古本屋の日記 2015年2月15日