象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

奪われるー奪う。(よっぽど暇な古本屋)

古物屋根性丸出しのわたしは、いつでも、なんか、自分ばかりがスカを喰らっている、自分ばかりが損をしている、そんな気持ちに苛まれていて、ほんとうは、オチオチ本も読めない状態なのです。買ったもの、売ったもの、遠い昔の一冊からまだ手にしていない蔵書の山、それからどっかで拾うかもしれない幸運のあれこれまで、とにかくなんでも誰かにうまくやられている、わたしの手から何か良いものが奪い取られている、そんなような気がして、ある瞬間に、はっと失恋に気づいたた女の子みたいに、胸がギュッとなって、身動きができない他のこと何も考えれない。

 

そんなはずはない。と、わたしはわたしに云ってやるのです。君ばかりが何か損をしている……もちろん、あんたほんと鈍臭いからね……それは多分にほんとうかもしれないけれども……、そればかりではない、君ひとりが、何か誰かに奪われているわけではない。奪われた、奪われている、そう思っている君自身が、きっと別の誰かから大切な何かを奪い取っているの違いない。それは見たこともない遠い町の誰かのものであるかもしれないし、ごく身近なひとの何かであるかもしれない……。奪われながら奪っている、喰らいながら喰らわれている、あなたの足を喰らっているわたしの足をあなたが喰らう……。そもそも、この(奪われたと思える)所有の幻想は、何に由来するのだろう?喰らっているわたしがあなたであるかもしれず……

 

奪われず、奪うことなく、果たして生きることは可能であるか?2、3点ネットに本やなんやをアップして、そこで、フリーズ、仕事が、まったく、先へ進みません。解凍の為に、まあ、書いてみるわけです。

 

このどうどうめぐりを。

古本屋の日記 2014年6月12日