最近お気に入りの立ち飲みで熱燗、マグロ中落ち、湯豆腐、そして、年配のサラリーマン氏の話に耳を傾ける。若い頃の酔っぱらい伝説、酒飲んでどんだけ暴れたか話。そういえば、と、自分の熱燗見つめながしみじみと思い出す19歳の春夏秋冬。詩人は、地べたに座って酒飲んでわーわー云って最後は人に殴られるものだと思い込んでいた気色の悪い季節。先輩に投げつけられる茶碗かわしつつ煽った安もんのウイスキーそのまんま全部吐き出して文芸部(いやお恥ずかしい)の部室に叩きつけた翌日、会う人皆に謝罪、一人で鼻つまんで臭い臭い部室を水洗い……。
「詩人というものはただもう大酒をくらって、そうして地べたに寝たりなんかすると、純真だとか何だとか言ってほめられるもので、私も抜ぬからず大酒をくらって、とにもかくにも地べたに寝て見せましたので、仲間からもほめられ、……。」太宰はんの小説。