冷たく澄んだ空気の向こうにきれいな青空が広がっておりました。市場を覗くも何も興味をそそられるものなく、外に出て空を見上げ、気持ちの清々しさにつられ天満橋へとチャリを走らせる。大川を渡りながら遠く生駒の山並みを眺め、これが、わたしが大阪でもっとも愛してやまない景色です、と云いたいところですが、ほんとうは、難波橋から眺める方が好きなのです。
江戸の昔鈴木南嶺という円山派の絵師の描いた鳥瞰図を思い出します。遠くの生駒山は今も昔もわかりませんが、大阪城はその絵の中には城壁しか描かれてはいませんでした。橋は今より細く頼りなげで、小さな舟が、幾艘か大川に浮かんでおりました。お気に入りの扁額でしたが、ある暑い夏の日に、どこかに売れてゆきました。