かの田能村竹田に才能を見いだされその姓を継いだ田能村直入、の曾孫にあたる田能村直外の、タイトル不明の掛け軸。「文人喫茶の図」、というよりも「へぼ文人茶を待つの図」とでもいいましょうか。すっとぼけた顔で読書をしているおっさんは、その実早よ茶が沸かんかいのうと給仕?の子供の方を盗み見ているようです。本なんかほんとうはどうでもいい。茶を飲んで、ノンビリぼんやりしたいだけに決まっております。「はよせんかいな、馬鹿たれが」などと内心つぶやいているのでしょう。どうも、あんまり立派な絵とも思えませんが、象々にはぴったりでございます。タッパの合う掛け軸。気に入りました。わしもやおらお気に入りの直入絵付け道八の煎茶碗をとりだし一服。ずいぶん前に近所のお客様よりお譲りいただいたのですが、まさか曾孫の絵の前で茶を注がれるとは、夢にも思わなかったでしょう。
めでたしめでたし。
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