星田でウイスキーのお湯割りを飲みながら母久美ちゃんの昔話を聞く。長崎佐世保から山を一つ二つ越えたところにある小さな炭坑の町。その町で生まれ育った母は、高校を出て、その町唯一つの映画&実演館のもぎり兼事務員兼いろいろとして勤めていたのですが……。ウイ。……。まあ、ちょっと飲み過ぎて眠たいので詳しくはまたの話。もう十二時前ですし。とりあえずは、長崎の山間部に点在する村や町のちっちゃな映画館の上映時間に合わせて、35ミリのフィルムを担いだ自転車が緑の中を走り抜けて行ったことだけは記しておきましょう。そんな田舎にまでそれぞれに映画館があり、一本の映画のフィルムを回し上映していた、そんな幸福な時代があったのだということです。
35ミリのフィルムが山を巡る話。
古本屋の日記 2013年12月17日