象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

古物屋が桜川で死んだ友達に出会う。

調べものをしに西区の市立図書館へ。志功の全集とスマホを武器に、疑問であった諸々におおよその決着を付けることが出来ました。その間わずか1時間。うーむ。調べごとのスピードアップがわれわれの業界にどのような影響を与えたか一考する価値がありそうです。長い時間をかけて研鑽をつんだ一部の専門家しか扱うことの出来なかった、高額な版画や和本類なども、興味とちょっとした努力とスマホがあれば、誰もがおおよその見当をつけて扱うことが出来る、と思えますが、いやいや上には上があってまだまだそんなに簡単に知ることができない高みがあるのだ、とも思えます。が、概ねは、昔に比べて、どんなジャンルのモノであっても、興味とちょっとした努力とスマホがあれば扱いやすくなっていることは確かなようです。はたしてそれで物知り顔に古本を商っている人(自分も含めてですが)を古本のプロ、と呼ぶかどうかは大いに疑問が残りますが、まあ個人的にはプロでなくても誠実であれば問題ないと思います。わたしは何かのプロであるより全身これ古物屋といったような臭ーいおっさんになりたいです。いつか、腹巻きに札束挿して元公家さんとか云う人の家にあがらせてもろて、へー、よろしいでんな、なんぼでっか?へえ?もうときましょ。

 

……。

 

久しぶりに西区の外れまでいったので、関西スーパーんとこの橋を南へ渡ってすぐを右、象々独立当時に住んでいた桜川のマンション?の近辺をチャリでうろついてみる。こんなボロい建物やったけか?一階にあった、漫画のクローズを読み過ぎてボクシングジムへ通っているような兄ちゃん連中がヤサグレてビールを飲んでいた喧しいバーはもうなくなってもうてるなあ。まあマスターもたいがいな人やったしな。どぶ川の堤防の向うにはアホみたいな大阪ドームの屋根が銀色に鈍く光ってて、なんとなく薄暗く感じるなつかしい裏道には人っ子一人いいいへん。千日前通りに出ると大きなバイクが爆音をあげて大正の方へと走り去って行く。ふとそれが、十年も前に、150kmのスピードでこの世から消えた大学の同級生に思え、そうか有家消えたわけちゃうねんなあと思う。古物屋の前にはまあ時々死んだ人がふうっとさりげなく姿を見せることもあるんや。そうか、有家。ここが彼岸でもあるわけか。あの関スーの橋、渡ったからかなあ。お前が企画してくれたコンパ、ドタキャンしてもうて、悪かったなあ。

古本屋の日記 2013年5月18日