ぱらぱらと雨が降り出す手前、父母を連れて久しぶりに石切さんにお参りする。近頃では参道の商店街の坂を上ることが出来ないので、しばらく小さな境内を眺めてぼんやり過ごす。石切さんは、お百度を踏む人の姿が絶えない神社である。ここに来ればいつでも、誰かの為に熱心に祈る人の姿があり、なにごとか人の中の信ずるに足るものを垣間見ることが出来るような気がするのです。人が生まれてこのかた、どのような形にせよ祈ることより真剣に行われた行為などなかったのだと、祈りより正しい行為などどこにもないのだと、思えたりもするのです。
石切さん。
古本屋の日記 2013年5月10日