象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

和本の日

雨です。今日は、主に江戸時代以前の和本や写本、浮世絵などを専門に扱う市場の、お手伝いです。まあるく囲ったテーブルの上を、百年の埃を吸った和の書物達が静々とまわってゆく、のを、目利きの方々が入札してゆく、回し入札。合理的な置き入札より時間はかかりますが、一冊一冊が目の前を通り過ぎてゆくこの方法が、象々は好きです。わたくしも、少しは物の分かったような顔で、古い書物のページを捲ります。ふむふむ。ふむふむ。時に、少し疲れた風に顔をあげて、やまない雨の音を聞いて、古い古い書物のページをふむふむ、ふむふむ。もう一冊ふむふむ、ふむふむ。くしゃみをして、それなから、何かつぶやきます。お昼は、まだか?すぐに、お腹がすいてくるのです。
古本屋の日記 2011年6月11日