象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

友を迎える。

古典会。後生大事に保管している紙のモノたちの中から選抜メンバーを募り、飯の種にと市場へ送り出す。けれどもわたしの紙のモノは誰の目にもとまらず、前よりも破れ目が少し大きくなって、申し訳なさそうにわたしの元に帰ってくる。

ーーやあ。

ーーやあ、襤褸くずの友よ、お帰り。お前は悪くないんだよ。

 

ー今日の悪霊ー

私はですね、ひょっとしたら、エルネストといった名前で呼ばれてみたかったかもしらんのですよ。ところが実際には、イグナートなどという品の悪い名前を背負わされているわけですが、これはなぜです、どうお考えになります。私はド・モンパール公爵とでも呼ばれたいのに、事実はレビャートキンでしかない、白鳥(レーペジ)からとったレビャートキンです。これはなぜでしょう?私は詩人ですよ、奥さん、歌わざる詩人でしてね、出版社から千ルーブリもらってもいいはずなんだが、実際は、あばら家住まいを余儀なくされておる、なぜ、なぜなんです?奥さん!ーー」

 

レビャートキン大尉がワルワーラ夫人に話した言葉。ーー新潮文庫 江川卓訳。

古本屋の日記 2013年1月25日