それはまるで賭け事のように、あるいは、もう二度と会うまいと誓った肉親を背後から突き落とすように……。あるいは、ほかの、あらゆる、孤独で卑屈なもののように、もう二度と届かぬものとして、自分から離れて、世界へ、向こうへと、手放された言葉が、それが、どのように聞こえ、どのように読まれ、どのように無視されるかは、わたしの知った事ではありませんが、それは確かに日本語で意味が分かるように書かれ話されあるいは黙られ何か伝えたいんじゃないかという不純さによりわが運子よりもよそよそしいものとしてそこにあるわけですーーなどというと、また始まったわねとあなは云うでしょうね。けれど今日はそんな罪深くもそこらへんに転がっているあらゆる言葉をやっつけてやろうと云う訳ではなくただ掃除して酒飲んで死んでしまったおばさんの詩を少しだけ紹介しようと思っただけなのです。
遥かする
純みめ、くるっく/くるっく/くるっくぱちり、とおとおみひらきとおり むく/ふくらみとおりながら、
わおみひらきとおり、くらっ/らっく/らっく/くらっく とおり、かいてん/りらっく/りらっく/
りらっく ゆくゆく、とおりながら、あきすみの、ゆっ/ゆっ/ゆっ/ゆっ/ とおり、微っ/まっ/
じろ きき すき//きえ/あおあおすきとおみ とおり//しじゅんとおとおひらり//むじゅうしむすろしか
つしすいし、まわりたち 芯がく//すき/つむりうち/とおり//むしゅう かぎたのしみとおりながら
たくと/ちっく/ちっく/ すみ、とおり、くりっ/くりっ/くりっ\とみ/とおり、さっくる/さっく
ちっく/るちっく/ すみ とおりながら
純みめ、きゅっく/きゅっく/きゅっく とおとおみ、とお、とおり、繊んじゅん/繊んく
さりなげく/まばたきなく/とおり、たすっく/すっく/すっく、とお、とおりながら
すてっく、てっく、てっく
山本陽子 遥るかする、するするながら Ⅲ〜冒頭部分