象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

もうすぐ夏です。

古本屋のおっさんは、少しからだを力ませ、顔を、やや紅潮させ、なにか話したかな、と思う間もなく否定され、行く道がなくなって、怒って出て行った。パン、と机を叩いたが、あまりに軽い音で拍子抜けして、誰も、止めなかった。そのくらいでは、世界は、振り向かない。小さいおじさん。おっさんの怒りは、くるくるまわって、こけたね。こっけいで、痛ましい事件。歳をとると、怒りさえ醜くなる。正しさは、美の味方ではない。おっさん同士だと、吠える豚、吠えられる豚。だんだん聞く耳もなくなって、蒸し暑くなってきて、蚊が、出てきた。
古本屋の日記 2011年6月8日