ここから先、大晦日まで、飛び石伝いに、忘年会がつづきます。今日は、象々独立の地である南船場中橋筋のご近所仲間の忘年会。若き商売人であったわれわれ(といっても集まるのは4、5人ですが)も十年の歳月を経てすっかりすれっからしのおっちゃんおばちゃんになりました。一番の年長であるはずの「社長」と呼ばれるおっさんも、あの当時はまだ四十代だったんだなあと今さらながら気づいたりして、一杯飲んでいつものおしゃべり象さんになる前に、そう昔でもない昔のことを思い出してみるのです。パン屋や象々の店の前でいつも誰彼関係なく一緒にお酒を飲んで、仕事そっちのけでよく遊んでいた印象が強いのですが、ふと、ほんとうは、たいした資金もなく、古本に対する知識も浅く(今でもですが……)、どうすればせっかく作った小さなお店を続けてゆけるのかさっぱりわからずに、半ばやけくそのように毎日お酒を飲んでいたのではないかと、そう思ったりもするわけです。とにかく、毎日、大騒ぎと二日酔いの繰り返しでほんとうはどうだったかなんて自分でもわからないのですが、なんにもない古本屋のわたしが、周りの人とわたし自身をけむに巻ために、饒舌とお酒と少しの古本……そんな日々を他人事のように送っていたのではないかと、振り返って、少し悲しい気分になるのです。ほとんど誰も通りの名前を知らない、南船場のあの南向き一方通行の道を通ると、いつも、なんとなくほろ苦い味がするのです。
中橋筋。
古本屋の日記 2012年12月15日