象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

喪中につき

葉書

……。

どこまでも続くように思われたあの焼け跡が幻なのか、目の前のビルの群れや人の波が幻なのか、もうわたしには判断がつかないのです。国とともに滅びる事はあっても、敗北の二文字はなかったのではないか?生きて虜囚の辱めをうけず、日本人は最後の一人が倒れるまで戦い抜くのではなかったか?などと、今では誰も耳を傾けてはくれないような疑問を胸に抱きながら、2012年8月15日、帰らぬ息子の死を誰かに知らせようと、いまだに喪中の葉書を書き続けているのです。……。

古本屋の日記 2012年8月15日