昭和初期頃のものと思われる、大陸みやげで売られていたと思しき古写真。満州の風景写真が多い中、何枚か、支那美人の写真が混じっておりました。なにやら怪しげな長い吸引具を口にしておりますが、さて、なにを吸っているのでしょうか?
「吸水煙ーー支那人には吸煙家が多い。習癖と言って了へばそれ迄であるが一種の交際的道楽的に弄ばれて居ると見られぬ事もない。吸煙具に数十百金を投ずる者も珍しくはないと言ふ。
煙袋と言えば煙管即ちキセルの事であるがそれに水の字が附いて居るのは煙管の下部に水を入れて煙を濾して吸ふ装置になって居るからである」ーー写真の横の解説ーー
発行はASIA PHOTO SERVICE 大連市東公園町七◯
煙の向こうの支那の女の、その柔らかな頬に触れてみようと手を伸ばすのですが、支那女はいつでも触れそうになるその刹那にふうっと消えてなくなって、そして、また、こちらをからかうように、長い時間をかけて吐き出される煙の中から笑ってわたしを見ているのです。この煙の向こうが夢なのか、こちらが夢なのか?だれがこの煙を吸っているのか?