象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

谷中安規 自刻自摺木版画「射手」を、やさしい先輩のおかげで入手する。

谷中安規 買取

(谷中安規 射手ーー浮世絵芸術昭和8年12月号巻頭の口絵)

いつも、ぼけーっと過ごしているせいか、どうか、わかりませんが、市場での見落としが、非常に多い象々であります。「市場にはお金が眠っている」という格言をいつもどこかに置き忘れて、たいてい、ふらーっと見て回っているだけで、肝心要を、見落としたまま通り過ぎているようです。この安規の版画も、以前に何度か扱っていて、わたしが好きなのを憶えていてくれた先輩が、「こんなのあるけど、札、入れたか?」と、開札のギリギリに教えてくれたので、あわてて入札。なんとか、落札出来た次第です。全然、気づいていませんでした。ありがとうございます。他の業種に比べ、古本屋は、同業者同士がお互いを助け合うことが多いような気がします。市場ではライバルでも、夜には居酒屋で、勝った負けたを楽しげにわいわい話しているのを見ると、少し不思議な気もしますが、そこは、やはり、好き者同士、商売抜きで、どこか、心が通じ合っているのです。なんていうと、全然そんなことないでと云う声が、向こうから聞こえて来そうですが……。

古本屋の日記 2011年11月17日