象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

ジョルジュ・ルオー「悪の華」より

お店は家の人に任せて一日ネット作業。とはいうものの、半ば、ウトウト。昨日、西九条で、張り切りすぎたか。二日酔いというほどではありませんが、力が出ません。月末。頑張らなあかんけど。

 

押入れの奥にしまっておいたルオーの版画集を引っ張り出すも、版画を一枚一枚確認してまた元に戻す。

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骸骨農耕詩

屍のような書物が 數多く

古代のミイラさながらに眠り惚けて

竝んでいる 埃まみれのあの河岸の

古本箱に 曝される 人體の解剖図

……

……

苦痛を堪えた陰惨な耕作人よ

汝らが掘り起すこの地面から

汝らの脊椎骨や 汝らの皮を剥がれた

筋肉の ありとあらゆる努力をして

 

どんな奇怪な収穫を 引き出そうと

言うのかしら 墓場から曳摺り出された

懲役人よ そして どんな百姓の

穀倉を 汝らは満たさなければならないのか

 

汝らは(あまりに過酷な宿命の

恐ろしくもあり また明瞭な 象徴よ)

見せたいだろう 墓穴の中でさへも

約束された睡眠が確實ではないといふことを

 

俺たちに對して虚無さえ裏切ることを

一切が、死さへもが、俺たちを欺くことを

そして永劫果てしなく

ああ 

俺たちは恐らく どこか

 

人の知らない國に居て

硬い瘠地の皮を剥ぎ 重たい鋤を

血塗れの跣足で壓して

耕さねばならないだろうということを

 

鈴木信太郎訳

古本屋の日記 2017年3月26日