とくに売り上げを期待しているわけではありませんが、あんまり誰もこないとやはり店番をしているのが嫌になります。
だから家の人に店番をまかせて近所を散歩。
堺筋より一本東側の道のなんかカフェみたいなところがいつのまにか行列店になっていて羨ましく思う。
(古本屋に人が行列するのを見ることはきっと死ぬまでないでしょう)
橋を渡る途中で見知らぬ女に懐かしげに声をかけられる。困惑しているわたしの顔を覗き込み今度はぎょっとした感じではねるようにわたしから遠ざかる。
青空。川沿いの桜はまだ咲かない。
春色の淀み。いつも同じように見えるかもしれませんが、今日は春の色が混じっています。
きっと私と同じように立ち尽くして川を眺めている人が他にもいるに違いない。生きている人や、死んでいる人、川を眺める人はそこここにいる。
ふと。
あの女と思ったものは人であったか。それともわたしが、もはや人でないように見えるのか。