朝、小ヅラの番組を見ながらウトウトしているとなんか火事だー火事だーという声が聞こえてきてああ俺はまた夢を見ているのだなあむにゃむにゃと寝返り打ちさらに深い眠りに落ちようとするその一歩手前、ジリジリなる警報機の音ウーウー近づいてくる消防車の音また何処かで火事があってそのニュースをやっているのかと寝ぼけながらのうす目を開けるとなんか部屋の中が煙で白くぼやけている。うーん。なんか覚えのある状況のような気もするけどまさかそう度々と思いながらも鼻をクンクンさせてみるとなんかケミカルな物質が焼け焦げたようなあの火事独特の臭いが混じっている。そこでようやくはっと飛び起きベランダの方へゆくと下の方から激しい煙がまさにもくもくと上がってきている。すぐさま外に出ようとするも変なラクダの上下ではさすがにこっぱずかしいので転がりながらGパンをはき手近な上着をひっつかんで玄関を出ようとするも店舗改装のため引き上げていた山積みの本を捨ててい行くのが惜しい。さて。その中から何を選んで救い出そうか?ぱっとはなかなか決められない。2、3冊掴んだ本をまた元に戻し、また別のを掴んでは元に戻しええい1冊2冊残してもしゃあないわいと突然のヒロイズムに取り憑かれ元々裸一貫何も持たんでもええわいときっぱり思いを断ち切って玄関を転がり出る………出る、もう一回戻る………出る、再び戻る。
外へ出て見上げると私の部屋の2軒隣3軒下の家が激しく燃えている。
………………。
………。
消防隊の懸命の消火とマンションの優秀な耐火性ゆえその上下に連なる部屋以外は重大な被害は免れなんとか事なきを得ましたが(人的被害がなかったのは幸いです。被害に遭われた方には心の底よりお見舞い申し上げます)、ここ5、6年、繰り返し襲い来る火の手にこの能天気な象々もさすがになんか気持ちが凹む思い。得体の知れない`モノ`が私の後ろをゆっくりと付いてきているのか?後ろを振り返りじっと睨む。
ほんまに。
なんやねん。
お前!
くるんやったら来い!
どんなに燃えても、
俺は参らんで!
やったる!
嘘。
降参。