浮かない気分の古物商は事務所のソファーに両手を組んで横たわりながらニール・ヤングのデットマンのテーマを聞いている。映画のラストシーンを思い浮かべ、このカヌーはどこへ流されて行くのだろうと、ぼんやり考える。不条理な生の岸辺を離れて、この死はどこへ流れて行くのだろう。わからない。わからないままにあの岸辺はあんなに遠くなってしまった。目を閉じよ。目を閉じよ。
目を閉じよ。
古本屋の日記 2015年9月11日