関西発の、なにが中心とも云えない、とにかく、`モダン`であろうとする意欲満々の雑誌の、昭和九年六月創刊号です。
巻頭の村野四郎の詩がなんか爽やかで、今日のような晴れた本町界隈の景色に似合いそうです。
食堂が終わると
僕らはビルの屋上へ駆けのぼる
たのしい青空
たのしい欠伸
そして たのしい身勝手なおしゃべり
僕ら一人一人は
三角形の日影にかくれ
じっと目をつむって
忽ち発見する─
掌を刺激する美しい足と
僕らを追ひつめる張りきった胸
微笑みが激しく揺れて
往き帰へる乗合自動車の中です
ぢつと見つめる僕
ぢつと見つめる娘
僕たちは青空へ夏蜜柑を投げ上げ
よろこびを黄金の肌色として
感覚を全身に溢れさせる
愉快な笑ひ 新しい呼吸
遠い海の匂ひが僕らを愛撫する
村野四郎 ビルデイング
……。
「生活的にも、感覚的にも新しい雑誌が誕生せねばならない時機にある。それは必ず旺盛な生活力をもつ関西から生まれでるであらうことを信じている。
……中略。
もっと新鮮で、もっと溌溂とした、もっと感覚的で、もっと生活に則した、朗らかで、颯爽たる新しい雑誌が生まれなくてはならない。わがモダン・マガジンはその抱負をもって創刊された」
丸尾長顕による後記。
この意気軒昂たる船出をしたこの大阪の雑誌が何号まで続いたのかは定かではありません。
古本、古道具、古美術品などの買取は、古書 象々にご相談ください。
戦前の雑誌など〜古本の買取についてをご覧ください。お電話・フリーダイヤル0120-313-002、古本買取のお問い合わせフォームにてご相談承ります。大阪、京都、奈良〜近畿一円、全国出張査定/買取いたします。