雨。予定していた本の運搬作業をあきらめ穴籠り。日当りの悪い事務所が一段と薄暗く、ほんで、まあ、居心地が良い。遠くで街の音がする。誰もここで息をひそめているもののことなど気づきもしないだろう。うまい隠れ家を見つけた。誰もわたしには気づかない。ふん。でもわたしは世界のことを考えている。出来るだけ意識を集中して隅々まで、考える？たとえばどこかの果ての一本の木や川で水を汲む少女、軍隊アリの長い長い行列、メキシコのゾンビ、K2のデスゾーンを進むクライマー、そんなもののことを、意味とかなんやややこしいことではなく、出来るだけフラットな映像として、わたしは見る。その、世界の隅っこにわたしに似た誰かがいて、そいつもやっぱり大げさに｀世界｀なんぞのことを、考えている、つまりはこちら側を、見返している。おんなじソファーに寝そべって。
…毎日おんなじようなことを考えてなにも進展なし。そんなことよりもっと仕事せなあかんな。
雨だから、アアルト、その後は、しりとりにはならない適当に本棚から抜き出してリートフェルト、シーグルド・レヴェレンツ。
ここで、早くも陥落。眠りに落ちる。。
汚れた顔の男の子がこちらを見ている。なにか本をあげようと思うけれどなにもも持っていない。
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