星田の朝の光の量は大阪のよその町より多いように思われる。まあそれは、他にこれといって特徴のない我が町への依怙贔屓からくる錯覚かもしれませんが、今朝などは少し曇っていたけれど、それでも山にへばりついたがらんとした老人住宅街の隅々にまで明るさがいきわたっていて、小さなモノの影でさえ光に憩っているように思われます。
さて、心の暗い人は、その光に照らされるとなにかとても恥ずかしい気持ちになって、外へでるのをやめて、また布団の中へ戻ります。明るさなど受け入れられぬぶるぶる。かといって昔から真っ暗はこわい。これもぶるぶる。頭まで毛布にくるまってそっと目を開ける。なにも見えないというほどではないけれど明るくもない。ほどよい薄闇。これでよし。光も影もない。よろしい。世界は、そのようにあれ。
さてさて、布団の中の薄闇の王国の、ぼんやり霞んだ向こうの方から、なにか人影のようなものがゆらゆらとこちらに向かってやって