ポケットに手を突っ込むとなにか硬いモノが指先に触れて、取り出してみれば小さな`はくぎょくの、亀`。ばたばたと慌ただしく過ぎて行く8月。いつもの道でふと、立ち止まる。わたしの歩みは遅い。あるいは先に進んだと思うのはわたしの思い違いで、今までも(そしてこれからも……)少しもどこへも進んでいないのかも知れない。最初から最後までここにいて、首を伸ばしてただ遠くを夢に見ているだけかも知れない。
もしもしカメよ
カメさんよ
永遠に静止した今から遠くを覗いて
一体何が見えますか?
もちろん、
ここと同じ、
つまらない永遠が見えるカメ。。