象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

ナジャ、君なのか?

一日本の整理。黙々と、働く。

……。

買い取ったたくさんのフランス文学関係の本の中には若い頃に読んだ憶えがあるものも多いですが、いま、どんな内容なのかと問われれば、さてさて、どうにも、しどろもどろ、あなたに話して聞かせることなどとてもできません。

ですが、全体としてどんなことが書かれてあったのかは憶えていなくても、なにか、言葉の間欠泉みたいに、時折、前後の脈絡もなく記憶の中から噴き上げてくる一文があるわけで、日々、長く退屈な言葉の連なりを辛抱強く読み続けるというのは、ただそのような、記憶の中に痙攣的に残る言葉との、非常に稀な出会いを待ち続けている状態と云えるわけです。読むのではなく、待つ、読書……。意味の連なりを離れて記憶の中枢をふるわす言葉……。

 

 

「そこにいるのは誰か?ナジャ、君なのか?彼岸が、彼岸のすべてがこの生のなかにあるというのは本当なのか?私には君の言うことが聞こえない。そこにいるのは誰か?私ひとりなのか?これは、私自身なのか?」

アンドレ・ブルトン「ナジャ」 白水社 小説のシュルレアリスム 巌谷國士訳

 

 

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古本屋の日記 2014年7月4日