その暗くて小さな商店街を歩いてゆくといずれは会いたくない自分に出会う事になるに違いない。目の前の、わたしの外側の道を歩いているのに、内側へ内側へ過去へ過去へと歩いてゆくふわふわした気持ち。今は誰もいない。このまま商店街を通り抜けて左に曲がると銭湯がある。銭湯を過ぎてもう一度、小学校のところを左へ曲がってしばらく行くと懐かしい赤提灯がある。暗い内側のトンネルを辿って次から次へと忘れた友達に会うのだけれど、目の前の、白けた道には誰もいない。辺りを見回す。雨ハ上ガッテイマスネ。久しぶりに◯◯商店街に来ていますと、われらのオンボロのお城の大将にメールをしたけれども、なんでか不通で自分のしょうもない言葉がだけが手元に残る。この居酒屋に最後に来たのは、土砂降りの雨の日だった。どっかで誰かと大げんかして一人でしょんぼり焼酎を飲んでいたような……。暗い、店の外を見ながら、特に、明日の事なんか考えてはいませんでしたね。
どこかへ帰ってゆくような気がする目の前の道。