象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

音楽が終わった時。

イーリアスについて語るボルヘスの言葉…「……人々は勝ったギリシア人たちではなく、敗れたトロイ人たちとの血の繋がりを求めた。恐らくこれは、およそ勝利には縁のない尊厳が敗北にはあるからでしょう。」(詩という仕事についてーー物語り、よりーー鼓直訳)

 

浅田真央の素晴らしいフリープログラムはやはり敗北の尊厳から生まれたものであると思う。長い長い物語の終わりに、勝つ事以外のなにものかがあるという事を、テレビや安物の歌の歌詞の言葉の中にはない真実味をもって我々に示してくれたと思うのです。音楽が終わった時にリンクの上に立っていた、あれを一体なんと呼べばいいのでしょうか?

古本屋の日記 2014年2月21日