2006年のトリノオリンピックで荒川静香が金メダルを獲得できたのは、彼女がノーミスで演技しきったということはもちろん一番重要なことではありますが、次の三つの幸運に恵まれていたからに他なりません。
一つは、トリノオリンピック開会式での、神に祝福された声と呼ばれた伝説のテノール歌手、ルチアーノ・パヴァロッチ人生最後のパフォーマンスである、あのトゥーランドット、「誰も寝てはならぬ」に、あらかじめ祝福されていたこと。
二つは、当時荒川静香を実力的には上回っていると思われていたイリーナ・スルツカヤ、サーシャ・コーエン、二人ともがフリースケーティングで転倒してしまったこと。
そして三つ目は、これは今でも一番幸運に恵まれていたと思う事ですが、その後のフィギュアスケート女子シングルのあり方をかえてしまほどの衝撃力をもってグランプリファイナルを制した当時15歳の浅田真央が、年齢制限でオリンピックに出場出来なかったこと。
あれから8年。今、あの無邪気に銀盤の上をくるくるまわる浅田真央はいないかもしれませんが、拍手もない、まるで誰もいないかのような氷の上にやはり今日も立って、MAO ASADAのコールが響けば、渾身の思いを込めて、滑り始めて欲しいと思う訳です。
おお夜よ、去れ!
星よ、沈め!
星よ、沈め!
夜明けとともに私は勝つ!
私は勝つ!
私は勝つ!
(ウェキペディアの訳)