象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

びっくりする。

寝そべってラスコーリニコフとスヴィドリガイロフのドゥーニャを巡るやりとりを読みながらふと足の先の方を見てみると目の端になにか黒いものが映り込んだのでわたしはそれをかのパタリロ氏の奇妙な走法の名の由来となったカサカサ素早く走り回る例の黒い虫だと思い込みうわわわわーと叫び声をあげたのですが幽霊の正体見たり枯れ尾花よく見てみるとそれはわたしの短パンに刺繍されたポロラルフローレンのマークでした。

 

わたしの大声を無感動に吸収し知らん顔しているボロ家の空虚を秋の蚊が横切る。小さな蜘蛛がぴょんぴょん跳ねるようにテレビの裏へ走り去る。目には見えないけれど、まだもっとなんかいるかもしれない。うーん。いないかもしれない。

古本屋の日記 2013年9月13日