象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

荷物運び。お見舞い。まつい。

籠目舎さんの荷物を積み出す。括っている時にはそんなに量があるようにも思いませんでしたが、トラックに積み込むとなかなかのもので、結局一日仕事となる。終了後父の見舞いに行くも、なんと病院を間違えると云うボケぶり。到着したのは面会時間を過ぎておりましたが、手の届く範囲に父の気になるあれこれを配置して、なんとか親孝行したつもりになる。歳を食うほどに、親孝行しないものは地獄に堕ちるという強迫観念が強くなってくる。帰り道、夜でも茹だったままの京橋で一杯。「まつい」の暖簾をくぐる。瓶ビールを飲みながらぼんやりと錫の大徳利を見つめているとなんか無性にそいつを飲みたくなり「お酒」とおっさんに云うと「燗?冷?」「燗で」「熱燗?ぬる燗?」「ぬるで」……。といって飲みはじめるも、さすがに、もともと火照っていた身体がさらに熱くなり、思わず「oh!ベリーホット」と、カオサンロードのマリアの言葉を呟きそうになる。……。

 

そういえば「まつい」を舞台にした小説を書こうと考えていた事を思い出す。始めと終わりだけ考えて、いつか古本で大儲けしたらゆっくり時間をかけて考えるつもりでほったらかし。真冬の熱燗と孤独者のモノローグと死。まるで犬みたいなその死を、錫の大徳利が救済するお話。

古本屋の日記 2013年8月22日