一日家にこもり仕事とも単にパソコンと戯れているともとれるような何ごとかに時間を費やす。途中、珍しくお店に来客あり。古いマッチラベルと旧陸軍発行の分厚い教本を買取る。ガラガラと扉を開けて人が来てガラガラと扉を閉じて人が去る。長岡輝子女史の岩手なまりの朗読で宮沢賢治の「なめとこ山の熊」を聞く。小十郎、熊、町の荒物屋の旦那、の狐けんについて考える。熊は小十郎に負ける、小十郎は旦那に負ける、けれども旦那は山へなんか行かないから熊に負けない。それではあきませんな。わたしも必ずどこかで負けることにしようと思う。そうしなければ狐けんが成立しませんから。というか、まあ、負けは充分すぎるほど負けておりますけど。
なめとこ山の熊
古本屋の日記 2013年6月13日