象々の素敵な日記 古本屋の日記

象々の素敵な日記

休日。

このような日日であった。夜ごと君は町はずれの荒れた空地にしのびこんで、いつも同じように<ウー>と鳴るしつこくつきまとう音を聞いただろうか?広広としたところでは<ウウウウーウウウウーウウウ>と鳴った。そしてーーこれは音であったのか?この音は何か、前代未聞の意味をもっていた。そして稀有の力と明白さに達していた。<ウウウウーウウウウーウウウ>という音はモスクワ、ペテルブルグ、サラートフの郊外の野原に低く鳴り響いた。しかし工場のサイレンは鳴らず、風もなかった。そしてーー犬も黙したままだったのだ。

君は十月のこの歌を聞いたことがあるか。十九O五年の?

 

訳注ーーこの歌の<ウー>という響きが<ペテルブルグ>創作を最初から一貫して支えていたとベールイは語っている。

ーー講談社文芸文庫 川端香男利訳ーー

 

 

どのような観念も、有効となるには形を持たなければならないーー。

ツムトアが引用するメレット・オッペンハイムの言葉。

ーーみすず書房 鈴木仁子訳

古本屋の日記 2013年5月5日