あと一週間もすれば水の都の古本市だというのに、金クラだ、全連だ、落丁だ、映画だ、居酒屋だ、などと、毎日バタバタとして少しも心が落ち着かないのです。寒い冬を味わい尽くすこともなく、もうすっかり春だねえということになりそうです。脳内には明るい日差しの中の一本の木の、痩せた人の腕のように細い枝にぶら下がっている首吊り人のイメージがこびりついております。ありゃー男だね。右回りに回っているから、なんていつもどうりの知ったかぶりで、誰もいないのに説明しております。ぶらーんぶらーんと、風もないのに揺れて、こっちに落ちて来やしないかと気が気でないのです。
落ち着かぬ。
古本屋の日記 2013年2月28日