黙々と、市場への、出品作業、をしながら、「殯の森」は、果たして失敗作であるかどうか、考える。失敗であるとするなら、作り過ぎたということか。ラストの、ヘリコプターの音が響く、希望と絶望が入り交じったような色の空に向かって差し出された尾野 真千子の両手は、とても印象深いものではありますが。……。辛い仕事の間は、そうやって、ぜんぜん関係ない事を考えるのが一番です。……。それから、「告白」の松たか子の慟哭シーンと、「ああ、ひめゆりの塔」の吉永小百合がわーんと泣くシーンを、比較してみる。芥川全集を、果たして市場で売れるんだろうかと疑問に思いつつ括りながら……。
涙のことを考えながら働く。
古本屋の日記 2012年5月12日